高齢者のレクリエーション 音楽療法

高齢者のレクリエーション 音楽療法

カラオケ

 

音楽療法とは、音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画に使用すること。

 

(出典 一般社団法人 日本音楽療法学会)

 

音楽療法は、音楽を聴いたり一緒に歌ったりして音楽のもつ力を利用して元の生活に戻るための訓練・治療をおこなうものです。

 

介護施設などでレクリエーションとして行えば、みんなで楽しい時間も過ごせます。

 

 

 

【脳を刺激する音楽の力について】

 

音楽でノリノリ

 

アメリカの大学の研究で「音楽がどのように脳を刺激するか」があります。結果、音楽をただ聴くよりも自分で歌うことのほうが脳を刺激することが明らかになっています。

 

脳には以下の8つの機能があります。

 

・思考(考える)
・伝達(人に伝える)
・感情
・運動(体を動かす)
・理解(目や耳から得た情報を理解する)
・聴覚(言葉の聞き取りや周囲の音を聞く)
・視覚(文字を読む、画像をみる)
・記憶(知識や感情を記憶する)

 

です。

 

音楽をどのように関わるかによって、脳の使う部分、刺激される部分が変わります。

 

・音楽を聴くだけなら聴覚を使うのみ
・カラオケを歌手のように歌うなら運動と思考
・感情をこめて歌えば感情と理解
・人に聴いてもらうことを意識すると伝達
・懐メロを歌えば視覚、記憶を使う

 

このように音楽は脳をまんべんなく使います。

 

 

 

【音楽療法と効果】

 

昔を懐かしむ老夫婦

 

音楽療法的な音楽活動とその効果を紹介します。

 

・歌をうたう(呼吸機能の維持と強化、ストレス発散、情緒の安定、など)
・音楽を聴く(回想を促す、情緒の安定と活性化、鎮静化、など)
・楽器を演奏する(集中力を高める、ストレス発散、達成感を味わう、など)
・音楽にあわせてリズムをとる(心身の活性化、など)
・音楽にあわせて体を動かす(身体機能の維持・強化・改善、など)
・曲にまつわることを話し合う(発語を促す、回想をする、など)

 

 

 

【音楽療法の注意点】

 

リンボーダンス

 

音楽の好みは人によって違います。どんなレクリエーションにもいえることですが、興味のない人を無理に参加させないようにしましょう。

 

また実施する前に参加者の体の状態を把握し、その人にあった運動や音楽を選びます。無理のないスピードとテンポで行います。

 

いきなりアップテンポやスピードの速い音楽や運動でなく、ゆっくりと軽くウォームアップをしてから速い音楽や大きな運動に入りましょう。手をあわせるなど、他者との身体接触は親近感を増し、孤立感を軽減するのに効果的ですが、身体接触が苦手な方もいることに配慮が必要です。

 

スタッフが音楽療法の効果について理解を深めることは大切ですが、参加者には音楽療法的なレクリエーションであることは感じさせないようにします。単純に楽しい、気楽、気軽、安心して参加できる雰囲気の中でおこないましょう。

 

 

 

【音楽療法で用意するグッズ】

 

マラカス

 

高齢者向けのレクリエーションに活用できる楽器などを紹介します。

 

・音楽CD(懐かしい童謡や唱歌が収録されているもの)
・大きな文字で歌詞を書いた紙
・タンバリン
・サウンドブロック
・トーンチャイム
・ジャンベ
・鈴
・鳴子
・オルガン
・マラカス
・シンバル
・カスタネット
・トライアングル
・ウッドブロック
・ハンドベル

 

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【音楽レクリエーションの進め方】

 

音楽CD

 

音楽レクリエーションで参加者に楽しんでもらうポイントは、3つあります。

 

・参加者に楽しんでもらう
・スタッフの心がけ
・目標をたてる

 

>>参加者に楽しんでもらう

 

大きな声を出してもらうことはストレス発散につながります。また発声により息を大きく吸い込みます。体に酸素を取り入れてもらいましょう。

 

声を出すと同時に体を動かす。同時に2つのことをするデュアルタスクは認知症の予防にもなります。体を動かすことで楽しくリハビリ効果も。

 

楽しむことが第一です。たとえ歌や動作を間違えても「気にしないで大丈夫!」と楽しく続けてもらいます。一人でなく、みんなで楽しむことが大切です。

 

音楽療法のレクリエーションをおこなうさいはトラブルを防ぐことも忘れずに。体がぶつかる、転倒しないよう十分な間隔をあけます。参加者同士のトラブルもあるかもしれません。座る位置に不満がありそうな人はいないか様子を確認しましょう。

 

>>スタッフの心がけ

 

明るく、楽しく。笑顔かつ大きな声で挨拶をします。またスタッフから動かなければ参加者は動きません。一緒に歌い、一緒に踊りましょう。体験を共有すれば信頼感も生まれます。

 

参加者それぞれ体の状態がちがいます。無理をさせない。当日の体調管理も忘れずに。参加したくない人を無理に参加させてはいけません。

 

レクリエーションの成功はスタッフの事前の準備で決まります。道具の準備や打ち合わせを必ず事前にしておきましょう。

 

>>目標を立てる

 

何事も目標が大切です。レクリエーションをするときは目標を決めておきましょう。

 

目標は「チームワークを育てる」「大きな声をだしてもらう」「上半身を動かしてもらう」でもかまいません。

 

 

 

【歌詞の扱い方】

 

カラオケ

 

参加者が読む歌詞と使い方は、4つあります。

 

・読みやすい大きさに拡大する
・スタッフがまず歌う
・回想法に役立てる
・スタッフ独自のアレンジをする

 

>>歌詞は読みやすい大きさに拡大する

 

歌詞は模造紙に大きく書いたり、原寸より大き目にコピーして参加者に配ります。手にもった歌詞に集中しすぎると、首がどうしても背中が丸まって頭が下がります。声が出にくくなるので、歌詞は模造紙に書いて前に張り出しましょう。

 

>>スタッフがまず歌う

 

いきなり「歌おう」と言われても参加者は躊躇します。まずはスタッフが先に歌詞を読んだり、歌います。

 

>>回想法に役立てる

 

昔を思い出すことは脳も活性化します。季節を感じさせる歌詞に登場する草木や動物などの写真を用意し、「これは何でしょう」と質問させてもいいですね。

 

>>スタッフ独自のアレンジをする

 

スタッフは手元の歌詞のコピーを用意します。うっかりミスを防ぐために、回想を促す場所やキーワードに印をつけておきましょう。

 

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