高齢者のレクリエーション 脳トレ
人間が何かを考える、見る、悩む、喜ぶ、体を動かすことができるのは、すべて脳があるからです。
人間の脳は、大脳、小脳、脳幹(のうかん)の3つからできています。
>>大脳
脳の80%を占めるのが大脳で、記憶や思考、言語能力などを動かします。
>>小脳
小脳は体をうまく動かしたり、姿勢をたもったりします。大きさは脳全体の約10%。
>>脳幹(のうかん)
脳幹により、わたしたちは意識しなくても呼吸したり、心臓を動かしたり、体温の調整をしてくれます。
脳幹は中脳、橋(きょう)、延髄からなり、脳と全身をつなぐ神経の通り道になっています。脳幹は呼吸や睡眠、体温や心拍数を調整し、命を守る活動をしています。
脳は神経をとおして目や筋肉、皮膚とつながっています。そして脳は神経をとおして体のすみからすみまで命令を出します。
【加齢で物忘れが増えるしくみ】
人間の脳は20歳くらいで成長をとめます。それから年をとるごとに神経細胞の数やシナプスの密度が減り、脳は少しずつ軽く縮んでいきます。そのため記憶力がおとろえたり、若いころよりも動きが機敏でなくなるのです。
けれど判断力や考える力には、老化による衰えはあまりみられません。脳を刺激して使うことで、脳のネットワークが作り続けられ、シナプスの結合が続くからです。新しいことをはじめたり、旅行に行くなど脳を刺激して脳のネットワークを作りましょう。
そのために脳トレ(脳のトレーニング)が役に立ちます。
【脳は休ませることも大切】
いくら使えば使うほど脳のネットワークが作り続けられるといっても、休むときは休む必要があります。大脳は睡眠で定期的に休ませましょう。睡眠は記憶を整理したり、記憶を定着させるためにも必要です。
【脳トレの前にご飯をしっかり食べる必要性】
人間の脳はエネルギーをたくさん使います。脳のエネルギーになるのはブドウ糖だけ。ブドウ糖が足りないと、脳はうまく働くことができなくなります。
ブドウ糖はパンやごはん、麺類に含まれる炭水化物にふくまれています。体重の2%の重さしかない脳が、ブドウ糖の消費量の約18%をしめているのです。
脳トレをする前に、朝ごはんをしっかり食べる習慣をつけましょう。
【脳が活発にはたらくとき】
脳は使えば使うほど鍛えられます。けれど、テレビを見ているだけ、スマートフォンを操作しているだけ、コンピューターゲームをしているだけ、漫画を読んでいるだけ、では脳はそれほど働きません。
脳を活発に働かせたければ、友達にメールで用件を伝えずに直接会って顔をみて話す。辞書を使って調べものをする、声を出して本を読む、かんたんな計算をする、何かをつくる目的で手や体を動かすようにします。
新しいことに挑戦するのも効果があります。たとえば、たくさん読書をする。いつもとちがった視点や角度で物事を見る。新たなアイデアを考える。はじめての場所に出かける、未体験のことに挑戦してもいいでしょう。英語など外国の言葉を学ぶことも脳が活発にはたらきます。
【脳トレとは】
脳力トレーニングの略。脳トレを毎日することで、記憶力や創造力などの能力が高まります。前頭前野の作動記憶を向上させるためのトレーニングです。作動記憶は、何かをおぼえようとして繰り返すことでよく働きます。
脳トレをおこなうと運動や楽器演奏の能力などが向上することが明らかになっています。スポーツでも体をつかったトレーニングばかりでなく、うまくいくイメージを頭に浮かべるイメージトレーニングがあります。
【脳トレの種類】
脳力のトレーニングといっても、様々なものがあります。
一人でするもの、グループでするもの。机に座って読んだり書いたり、クイズやなぞなぞ、パズルを解いたりするもの。手や足を使って運動しながら頭を使うもの、携帯ゲーム機やスマートフォンのアプリで楽しめるもの、などです。
認知症の予防にも昭和の時代に関するクイズを解くことで昔を想いださせるものがあります。
>>クイズ
日本の魅力のひとつ、季節の移り変わりを示す二十四節気(にじゅうしせっき)や七十二候(しちじゅうにこう)についてのクイズを解きます。たとえば、夏がはじまるのはいつからですか(夏至から、梅雨明けから、立夏から)。
エレベーターのシンボルマークについてのクイズに答えます。上に行くときは▽を押しますか。答えはバツ。△が正解です。
流行語クイズ。レガシーの意味はどちらですか。アイドルグループの名前、または残すべき世界遺産。答えは世界遺産です。
>>なぞなぞ
とんちのきいた問題を楽しく解きます。どんなにたくさんあっても、ない食べ物はなんですか(答えは、なし)
>>記憶力遊び
はじめにAさん、Bさん、Cさんnの会話を覚えます。次のページでBさんが好きといった植物は何ですかと質問してくるので答えます。
>>しりとり遊び
2つの単語が書かれています。間に入る単語を埋めましょう。カラス()メジロ。ヒントは鳥です。かっこにはスズメが入ります。
>>漢字クイズ
動物や魚へんなどのついた漢字を読みます。「熊猫」は読めますか。答えはパンダです。
>>クロスワードパズル
タテのカギ、ヨコのカギをといてパズルを完成させましょう。
>>マンダラぬりえ
マンダラにサインペンや色鉛筆で色をつけます。じっくり一週間ほど時間をかけて完成させます。心を落ちつかせてくれます。
>>16マス計算
タテの列とヨコの列の数字を掛け算します。時間をはかりながら、いかに早く終わらせるか挑戦しましょう。
>>大きな数字探し
新聞にある一番おおきな数字をみつけます。集中力がアップします。50兆円など。仲間と楽しく交流もできます。
>>足やぶり
イスに座って新聞を足で上手に半分にします。
>>新聞キャッチ
イスにすわったまま、誰かに棒状の新聞紙を落としてもらいます。それを落とさずにキャッチします。反応する力、手先の器用さを維持できます。うまくキャッチしたら「すごい!」「やりましたね!」「すばらしい!」と声をかけましょう。