AIスピーカーのアマゾンエコーは声で指示する電脳執事
2017年の11月、日本でも人工知能を搭載したAIスピーカー(ネット接続機能付きスピーカー端末)のアマゾン・エコー(Amazon Echo)が発売されました。
すでに米国では2014年に発売されており、数百万台も売れています。2017年のAIスピーカーの所有率は米国で21%、日本でも8%あります。野村総合研究所の予測では、2023年の日本での世帯普及率は48%になる見通しです。ちなみにアマゾンエコーは米国市場で約70%のシェアを占めています。
AIスピーカーは内臓のマイクで音声を拾うと、インターネットを通じてクラウド上にあるAI(人工知能)で音声の内容を認識して回答を作成します。
アマゾンエコーには音声認識システムのアレクサ(Alexa)が搭載されており、あなたが話しかけると指示された仕事をこなしてくれます。いわばアマゾンエコーはあなた専用の執事です。
日本で発売されるモデルは3種類。標準型のエコーのほか、小型のエコードット、高機能のエコープラスがあります。また画面付きのエコー・スポットも2018年の夏に登場。
米国では任意のスピーカーを接続できる廉価版のエコードット(Echo Dot)、バッテリー駆動で屋外に持ち出せるアマゾンタップ(Amazon Tap)、本体にカメラ付きでファッションのアドバイスもできるエコールック(Echo Look)やタッチスクリーン付のエコーショー(Echo Show)もラインナップに加えられています。
【アマゾンエコーでできること】
アマゾンエコーの最大の特長は、大手インターネット通販サイトのアマゾンが音声で利用できること。アマゾンで商品を注文するのに、パソコンどころかスマートフォンさえ使いません。
アマゾンは世界最大級の流通業者で本、CD、DVD、家電、日用品、自動車、生鮮食品、飲料、お坊さん手配サービスなど、ないものはないといえるほどのサービスを提供してくれます。
エコーには合計で7つのマイクが装備されていて、あなたの声を認識し分析、適した答えを人工の音声で読み上げます。呼びかけられた方向に近いマイクの音を認識する機能もあるため、家族の話し声や音楽がかかっていてもエコーは反応します。
アマゾンエコーでできることは
・ラジオが聞きたい→ラジオがかかる
・ニュースを読み上げて→ニュースがかかる
・株価が知りたい→株価を教えてくれる
・音楽が聴きたい→音楽がかかる
・天気が知りたい→気温や降水状況など天気予報を教えてくれる
・ミネラルウォーターが買いたい→注文してくれる
・エアコンをつけて→エアコンのスイッチが入る
・簡単な質問をする→音声で答える
・アマゾンで販売されている商品を購入できる
・銀行残高を知りたい→教えてくれる
・午前10時に車を呼んで→タクシーを呼んでくれる
・ピザが食べたい→宅配ピザを注文してくれる
などがあります。
すでに米国ではエコーに対応する家電が豊富に発売されており、音声で室内の照明をつけたり、テレビの音量を調整したりできます。
日本でも発売開始からJR東日本や資生堂、日本経済新聞社など約260種の関連サービス「スキル」を用意しました。提供される関連サービスはこれからどんどん増えていきます。米国では発売されてから3年で2万種類の関連サービス「スキル」が提供されています。日本でも2018年6月時点でスキルが1000種類に達しました。
ちなみに他社からもAIスピーカーは発売されていますが、グーグルが提供するグーグルホームは発売時点で約30種のサービスと連携、LINEのウェーブはラジオ再生や家電のリモコン操作くらいしかありません。
サービスの提供数、利便性や性能ではアマゾンエコーに軍配があがります。
AIスピーカーがあれば、足がわるかったり、寝たきりでも声だけで仕事を命令できます。高齢者にはぴったりの家電製品になるでしょう。
【AI(人工知能)とは】
AIは蓄積された過去の膨大なデータの中から、もっとも良い選択を導き出す賢いツール(道具)です。
たとえば、あなたが朝すぐにテレビでニュース番組を見る習慣があれば、それを覚えます。ネット通販でいつも同じ銘柄のミネラルウォーターを購入していれば、それも覚えて注文するとき一番に選択してくれます。
またスマートフォンのアプリを通じて音声を登録すれば、話しかけた人をAIは識別します。一台の端末を家族で使う場合でも、お互いのプライバシーが守れます。たとえば、子どもが勝手に通販サイトで買い物をすることも防げます。
【AIスピーカーを装備した賃貸アパートも登場】
レオパレス21は、AIスピーカーを新築のアパートやマンションに2018年の1月から標準装備します。居住者はAIスピーカーに声で命令することで照明をつけたり、エアコンやテレビなど家電のスイッチを入れたり、天気などの情報を知ることが可能になります。
今後は、新築住宅にもAIスピーカーが標準装備されそうです。家電などあらゆるものをインターネットに接続させるIoTの導入に日本も向かっていくことでしょう。
【AIスピーカーで給湯・床暖房の操作が可能に】
大阪ガスはアマゾン・エコーを使って自動で風呂のお湯はりができるサービスを2018年4月から始めます。スマートフォンで操作できる家庭用燃料電池や給湯器の利用者が対象です。
利用者がスピーカーに向かって「お風呂をわかして」などと声をかけると、自動でお湯はりが始まります。関西弁など独自の言い回しも認識。給湯だけでなく床暖房の操作も可能です。
【AIスピーカーが本を読み上げる機能を導入】
アマゾン・エコーやLINEのクローバが本を読み上げる機能を導入しました。
視覚障害のある方、何か作業をしながら本の内容を知りたい方、子育て中の母親が家事をしているあいだに童話を子供に読み聞かせることができます。
アマゾンでは自社通販サイトで購入した電子書籍などが対象で、マンガや写真集などには対応していません。LINEはももたろうやシンデレラなどの童話50作品を無料で読み上げます。
両社とも作品数を拡充する考えです。
【孫が喜ぶキャラクター型AIスピーカー】
LINEがキャラクター型のAIスピーカーを相次ぎ導入しています。2018年の6月からは、人気アニメのドラえもんをモチーフにしたClova Friends mini ドラえもんを発売しました。お孫さんがドラえもんと会話を楽しむことが可能です。
AIスピーカーのよく使う機能として、対話アプリや通話、タイマー、童話の朗読などが上位に並んでいます。
お子さんが家事をしているあいだ、お孫さんの相手をしてくれるキャラクター型スピーカーをプレゼントすればきっと喜ばれることでしょう。
【デパートの接客もAIスピーカーでする時代】
パルコ池袋店は店内の案内にアマゾンエコーを活用します。音声だけでなく視覚で情報がわかりやすいようにタブレットも近くに配置します。
お店の場所や商品情報、トイレの場所だけでなく、書店やコインロッカーなど店内にない約600種類の問い合わせに対応します。AIスピーカーを導入することで、受付の業務負担を減らし、案内の効率化につなげます。
人件費の高騰が続くサービス業界。今後も様々なお店でAIスピーカーが導入されることは間違いありません。
【ラウンジの混雑状況を知らせてくれるホテルも登場】
2018年2月に開業したアンドホステル秋葉原は、客室内にAIスピーカーを導入しました。
スピーカーで定期的に「カフェラウンジがにぎわっています」と人の集まり具合を教えてくれます。カメラでラウンジの混雑具合を自動認識し、リアルタイムで情報を宿泊客に伝えます。
世界中から若い旅行者が集まるホステルは、宿泊客同市が交流を目的にラウンジに来る傾向があります。2016年からホテルでは交流を重視しており、第4次ホテル戦争がはじまったといえるでしょう。
【AIスピーカーの設定サポートも登場】
日本ではLINEのウェーブ、アマゾンのエコー、グーグルのグーグルホームなどのAIスピーカーが発売されています。話かけることでニュース等の情報を取得したり、商品やサービスを注文できる利便性が注目されています。
しかし新しいサービスのため、自宅のWi-Fi(ワイファイ)接続、初期設定、スマホやタブレットへの接続、アカウント作成といった設定に手間取る消費者もいます。
そこでパソコンの利用者サポートを手がける業者が、AIスピーカーが家庭で使えるように訪問して手助けするサービスを開始しました。電話でのサポートにも対応します。
【日生、AIスピーカーで認知症予防】
日本生命保険は2018年3月内にも認知症対策サービスを始めます。
アマゾン・エコーを活用して認知症予防プログラムの提供を開始。音声対話を通じたクイズで脳を刺激したり、生活習慣に関するアドバイスをします。
また音声対話での保険金支払い手続きや、独居高齢者の見守りサービスも検討します。
【液晶画面付きのアマゾン・エコー・スポットが発売】
アマゾンジャパンは、2018年の6月20日から液晶画面付きのアマゾン・エコー・スポットの予約を開始しました。7月末から出荷を開始します。
最大の特徴は、液晶画面と内臓カメラです。
置時計かわりとして。カメラで撮影した画像をフォトフレームとして表示も可能。天気予報や最低・最高気温・週間天気予報も表示します。動画も見れるからニュースや料理の作り方、JR東日本の運行状況、銀行口座の残高もわかります。
またカメラが本体に内臓されているので、外出先から室内やペットの様子も確認できます。同じエコー・スポット同士ならビデオ通話も可能。
アマゾン・エコーにスクリーンがついたアマゾン・エコー・ショーも登場しました。日本では現在のところ未対応ですが、ドロップインというテレビ通話機能が使えます
たとえば親子でアマゾン・エコー・ショーをもっていれば、子供側の操作でテレビ通話機能をはじめることができます。これなら操作が苦手な高齢者は何も操作せずに離れた子供や孫と会話ができます。
【アマゾンのAIスピーカー、実店舗でも販売を開始】
日本では2017年11月にインターネットでの販売に限定されていたアマゾン・エコー。実店舗での販売を2018年4月3日から開始しました。
家電量販店ではエディオンやケーズ、上新電機の店頭に商品が並びましたが、ヤマダ電機やビックカメラでは取扱いがされませんでした。
この2社はグーグルのAIスピーカー「グーグルホーム」の販売に力を入れているため、アマゾン・エコーの販売は今後も未定になりそうです。